この春、全国のほとんどの小中学生に「1人1台」のパソコンやタブレット端末が配備されました。「GIGA(ギガ)スクール構想」と呼ばれるこの取り組みは、なぜ始まったのでしょうか。学びの姿はどう変わり、どんな課題があるのでしょうか。
「GIGAスクール構想」は、社会のデジタル化が急速に進むなか、地域や学校に関係なく、情報やデータを扱う力を子どもたちにつけてもらおうと、文部科学省が2019年に打ち出した。GIGAは「Global and Innovation Gateway for All」の頭文字で、「すべての子どもたちに、グローバルで革新的な入り口を」という意味だ。小中学生に1人1台のパソコンやタブレット端末を配備し、小中高校に高速通信ネットワーク環境を整備する事業だ。
「教育の情報化」は1985年、中曽根康弘首相(当時)の下に設置された臨時教育審議会が提言した。産業界からの求めもあり、国は地方交付税などで予算をつけ続けたが、「教育の情報化」は、なかなか進まなかった。
その間に、経済協力開発機構(OECD)の加盟国などでは、学習へのデジタル活用が進んだ。OECDの生徒の学習到達度調査(PISA)や、国際教育到達度評価学会(IEA)の国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)など、国際的な学力調査もコンピューターで解答する方式に移り始めた。
長らく日本の遅れが指摘されていたが、コロナ禍による昨春の一斉休校で事態は動いた。オンラインによる家庭との連絡や学習の必要性が高まるなか、当初は23年度までに配る予定だった計画を大幅に前倒しし、今年度から「1人1台」の端末利用が本格的に始まった。
変わる子どもたちの学び
子どもたちの学びは、どう変わるのか。
ネットでの情報収集やオンラ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル